定員18名なのに、どうしても12名から増えない。相談員への挨拶回りは続けてるんですが、何も変わらなかった
相談員が『紹介しやすくなった』って言ったのは、ホームページが良くなったからじゃなくて、毎週更新される情報が見えるようになったから
変わったのは施設じゃなくて、見えるものが増えただけだった
2026年5月の障害福祉サービス報酬改定から、多くの事業所が稼働率の低迷に苦しんでいます。基本報酬が見直される中で、『選ばれる施設になる』ことは経営上の急務になりました。私たちが出会ったのは、そんな状況の中で、一つの地域の障害支援事業所が静かに変化していく現場でした。
この施設の管理者は、一人でした。大きな組織ではなく、既存のやり方でもなく、ただ『見えないままでいいのか』という違和感から動き始めたのです。半年の間に、相談員の紹介ルートが変わり、家族見学が増え、ハローワークからの求人応募まで変わった。何が起きたのか。その時系列を、同じ悩みを持つあなたの施設に照らし合わせてもらいたい。
重要なのは『新しいツール』ではなく『見えることの力』です。B型、生活介護、グループホーム。業種は違っても、外から『信頼できる施設だ』と思われるようになったルートは、意外と単純でした。
定員18名、稼働12名。挨拶回りを続けても何も変わらない
その施設の管理者・田中さん(仮名)が最初に感じたのは、徒労感でした。定員は18名。毎月、相談員が紹介してくれる利用者は平均3〜4名。なぜか枠が埋まらない。『何か悪いのか』と相談員に聞いてもはっきりした返答はない。相談員も忙しい。月1回の挨拶回りは欠かさなかったけれど、『今月はどう?』という雑談で終わることがほとんど。田中さんは感じていました。『見られていないんだ』と。
同じ悩みを持つ施設に、私たちがコンサルティングで入ると、よく聞く言葉です。『相談員さんに信頼されていないのかな』『他の施設と何が違うんだろう』。でも、実は違う。相談員さんは忙しすぎて、『あなたの施設がどう変わったか』『今、何をしているのか』を、知る機会がないだけなのです。
その時点では、田中さんも気づいていませんでした。問題は『相談員が信頼していない』ことではなく、『相談員が情報を持っていない』ことだったのです。
相談員が施設を選ぶ基準は、いつの間にか変わっていた
田中さんが相談員に直接聞く機会が訪れました。それは、ある相談員との1対1の面談の中でした。その相談員は『率直に言うと、施設の情報が更新されていくのが見える施設とそうでない施設では、紹介する優先順位が変わります』と言ったのです。
『訪問頻度』から『情報の鮮度と透明性』へ。気づいてみると、相談員たちの判断基準は、ここ数年で大きくシフトしていました。相談員の仕事も変わっていたのです。かつては『信頼できる施設=月1回来てくれる施設』だったのが、今は『信頼できる施設=今どういう状態で、どんな工夫をしているのかが見える施設』へと変わっていたのです。
ここが転機でした。田中さんは思いました。『訪問の頻度じゃなくて、見えることが足りないんだ』と。
転換点① 相談員の反応が変わった日(情報発信を始めて6週間後)
田中さんが取り組み始めたのは、シンプルでした。毎週、施設の様子を更新すること。活動の風景、利用者の成長、スタッフのコラム、支援の工夫——。ホームページではなく、LINEの公式アカウントで、毎週月曜日に届く情報。特別な企画ではなく、日々の中から『見えるものを増やす』こと。
6週間後。いつもと同じように情報を配信していたその日の夕方、相談員から電話がありました。『田中さん、今週の配信見ましたよ。あ、そういう工夫してたんですね。今度、利用希望者さんに紹介するときに、これを見てもらえますか?って言ってもいいですか』。
相談員が、施設の発信を『紹介する材料』として使い始めたのです。訪問時の雑談ではなく、実際の情報の積み重ねが、紹介の根拠になり始めたのです。翌月、その相談員からの紹介は2名増え、その紹介者経由で別の相談員からの問い合わせも来ました。見えることが増えた。その結果、信頼の輪が広がり始めたのです。
転換点② 家族見学が増えたのは、ホームページではなかった
相談員からの問い合わせが増える。その次に起きたのは、利用者の家族からの見学申し込みでした。一度は3名、次は4名——。それまでは『相談員から勧められた1、2名の家族が月1回来るか来ないか』だったのが、月に複数の家族が見学に来るようになったのです。
興味深いことに、家族たちは『ホームページを見てきました』と言いませんでした。『相談員さんが、こういう配信を見てくださいって言ってくれたので』『施設のLINEをフォローしてて、毎週どんなことしてるか見てるんです』。家族は、毎週の配信を通じて、施設のスタッフの顔が見え、利用者たちの笑顔が見え、工夫の背景が見える。その積み重ねが、『この施設なら安心』という判断に変わっていたのです。
ここで気づく重要なポイント。B型(就労継続支援B型)では『作業の工夫と成果が見える』ことが家族の安心につながり、生活介護では『日々の過ごし方と支援の細かさが見える』ことが安心につながり、グループホーム(GH)では『生活環境と人間関係の質が見える』ことが安心につながるのです。発信の内容を変えるだけで、同じプロセスで信頼は深まっていきます。
📩 まずは無料相談から
事業所さまの状況をお聞きし、最適なプランを一緒に考えます。
ご相談は完全無料 / しつこい営業はいたしません。
24時間以内にご返信 / オンライン30分の相談から
転換点③ ハローワーク担当者が『紹介しやすくなった』と言った理由
3つ目の変化は、求職者からの応募でした。ハローワークの求人票は、以前と何も変わっていない。給与も条件も同じ。なのに『田中さんのところ、求人票出したら応募が来ました』とハローワークの担当者が言ったのです。
ハローワーク担当者から聞いた理由は、シンプルでした。『求人を見た人が、施設のLINE配信を見に行くんですよ。それで『こういう施設なんだ』ってわかって、応募してくる。だから説明がしやすい。前は『いい施設ですよ』って僕が言うしかなかったけど、今は『ここ、毎週発信してるから見てみてください』って言えば、実際に見てくれる』。
ここで重要なのは、B型と生活介護、GHで求職者の『見たいポイント』が異なるという現実です。B型なら『スタッフの関わり方』『職場の雰囲気』が見えることが採用判断に大きく影響します。生活介護なら『支援の専門性』『一日の流れの丁寧さ』。グループホームなら『生活環境』『スタッフとの関係性』。同じ『毎週の発信』でも、業種に合わせた内容の工夫が、採用を左右するのです。
B型・生活介護・グループホームで効き方が違う3つのポイント
1. 相談員が着眼する点
- B型:利用者の工賃・成長・社会参加の機会が見えているか
- 生活介護:支援の丁寧さ・個別対応の実績・スタッフの専門性が見えているか
- GH:生活の質・人間関係・自立支援への姿勢が見えているか
2. 家族が信頼の根拠にする情報
- B型:作業を通じた利用者の変化・スタッフとの相互作用・社会人としてのスキル習得
- 生活介護:日々のケア・利用者の表情・スタッフの関わりの細部
- GH:生活環境・安全管理・スタッフの人柄・利用者同士の関係
3. 求職者が職場として判断する基準
- B型:やりがいを感じられる環境か・チームワークが機能しているか
- 生活介護:介護スキルを磨ける環境か・スタッフの負担が見えないか
- GH:夜間勤務の負担感・入居者との関係構築のしやすさ・生活支援の実感
あなたの施設が今週から動ける再現ステップ4つ
ステップ1 : 『見せるポイント』を3つ決める(今日)
相談員に見てもらいたいこと、家族に安心してもらいたいこと、求職者に『働きたい』と思ってもらいたいことを、それぞれ3つずつ挙げてください。その3つの交点が、あなたの施設の『見えるべき本質』です。
ステップ2 : 情報の『形』を決める(明日)
毎週月曜、それとも毎週金曜。LINEで配信するか、ブログか、Instagramか。最初は何でもいい。大事なのは『継続できる頻度』と『相談員が見やすい形』です。複数の施設を抱える相談員さんが、スマートフォンで1分で目を通せる形を選んでください。
ステップ3 : 4週間、誰かに『見守ってもらう』(今週から)
田中さんも最初の4週間、Happiterのサポートで毎週フィードバックをもらいながら配信内容を調整していました。一人でやっていると見落としていた施設の『当たり前』が、外からの視点が入ることで言葉になっていく——田中さんはそう振り返っています。同じ業種の他施設の管理者や、信頼できるサポーターに『この情報、見てくれますか?』と頼むことで、発信は質が変わっていきます。
ステップ4 : 相談員・家族・ハローワークに『見てくれませんか』と伝える(2週間目)
『こういう発信を始めました。紹介の参考になればと思うので、よかったら見てください』と、一言添えるだけで十分です。それだけで、相談員の『見える化』への意識が変わります。見られていることが分かると、情報の質も自然と上がっていきます。
管理者が最後に言った一言——『変わったのは施設じゃなかった』
稼働が18名中16名に達した3か月目。田中さんは感慨深くこう言いました。『実は、施設として何か大きく変わったわけじゃないんですよ。スタッフの仕事内容も、支援の方針も、もともと良かった。変わったのは、その良さが『見える』ようになったこと。それだけなんです』。
ここに、DXの本当の意味があります。新しいツールを導入することじゃなくて、『既に存在する施設の価値を、外から見えるようにする』こと。相談員が、家族が、求職者が『この施設は何をしているのか』を知る機会が増えるだけで、受け取られ方は変わるのです。
田中さんの話を聞いて残ったのは、意外なほどシンプルな事実でした。施設が変わらなくても、見えるものが増えれば、外からの受け取り方は変わる。相談員が持っている情報が変われば、紹介の動き方が変わる。今、あなたの施設が日々おこなっていることの中に、まだ外に出ていないものが、きっとあるはずです。
この記事は Happiter株式会社 代表取締役 茂呂史生 が福祉×AI×ICT 研修の現場経験をもとに執筆しました。数字や事例は受講事業所さまの実例を一般化したもので、個別の状況によって異なります。あなたの事業所に合った進め方は、ぜひ 無料相談 でお聞かせください。
あなたの施設の『見えるべき良さ』は、すでに存在しています。相談員が紹介しやすい情報、家族が安心できる情報、求職者が『働きたい』と思う情報——それらを毎週の習慣として外に出すだけで、ルートは変わり始めます。今週の月曜日から、その第一歩を踏み出してみませんか。
まず、今の施設から何が外に見えているかを確認してみませんか。Happiterでは現在、『施設の発信状態を一緒に確認する30分』を受け付けています。相談でも契約でもなく、今の状態を把握するだけの入口です。報酬改定後の今、動き始めた施設との差は、この小さな確認から始まっています。