家族にきつく言ってしまった人へ。
言った瞬間に「しまった」と思った。でも、もう口から出てしまっていた。相手の顔が曇って、部屋の空気が重くなって、そのまま夜になってしまった。
いちばん近い人にこそ、いちばんきつい言い方をしてしまう。よくあることです。そして、あとから一番こたえるのは、言ったほうの自分だったりします。
本当は謝りたい。でも、いざ顔を合わせると「ごめん」がのどにつかえる。家族だからこそ照れくさい、という方は多いと思います。
謝れるなら、謝るのがいちばんです。そこは変わりません。
ただ、今夜どうしても言葉が出てこないなら、もう少し小さな一言から始める方法があります。使うのは、天国言葉のひとつ「ありがとう」です。
「ありがとう」は、8つの天国言葉の中で、いちばん言い慣れた言葉かもしれません。お店の人にも、道をゆずってくれた人にも、ふだん自然に言えています。
ところが、家族にだけは、なぜか言いそびれる。お茶を入れてくれた時も、洗濯物をたたんでくれた時も、「うん」で済ませてしまう。
「ありがとう」という言葉を大切にしたことで知られる小林正観さんは、特別な場面を待たずに、ふだんから「ありがとう」をたくさん口にすることをすすめていました。私は、言い慣れた言葉ほど、いちばん近い人に向けたほうがいい、という意味だと受け取っています。
では、いっしょに練習してみましょう。
相手の顔は、思い浮かべても、浮かべなくても構いません。小さな声で、1回だけ。
「ありがとう」
言えましたか。のどにつかえる感じがしても、照れくさくても、それで大丈夫です。
心がついてこなくていいんです。まだ気まずい、まだ少し腹も立っている。そんな気持ちのままでも、声に出せたら、今夜の練習はおしまいです。
練習ができたら、今夜、本番をひとことだけ。
大きな話はしなくて大丈夫です。お茶を出してもらったら「ありがとう」。食器を下げてくれたら「ありがとう」。きっかけは、なんでもいいんです。言えそうなら、「さっきは、きつかったね。……いつも、ありがとう」と、少し小さな声でも。
言ったからといって、すぐに空気が元どおりになるとは限りません。相手にも、気持ちを落ち着ける時間が要ります。それでいいんです。今夜の「ありがとう」は、相手を動かすためではなく、自分の口を、とげのある言葉から天国言葉へ戻すためのものです。
言えなかった夜は、布団の中で、相手に向けて心の中で1回。それも立派な一歩です。
もし、きつい言葉が毎日のように止められない時は、ひとりで抱えず、相談窓口や身近な人を頼ってください。
私、山燦(さんさん)は「ゆたかなダルマ会」で、毎朝、天国言葉をいっしょに声に出しています。家族に「ありがとう」が自然に出る口にしておくには、毎日の小さな練習が助けになります。ただ、その練習をひとりで続けるのは、案外むずかしいものです。
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