「ついてる」を口ぐせにすると、何が変わるのか。
先に答えを言ってしまうと、世界は何も変わりません。変わるのは、自分の目に入るものです。でも、それだけで一日の味がずいぶん変わります。
山燦(さんさん)と申します。天国言葉を毎日の習慣にする「ゆたかなダルマ会」という集まりを主宰しています。今日は、私が「ついてる」を続けてきて分かったことを、正直に3つお話しします。
むかしの私の口ぐせは、「疲れた」「最悪」「どうせ」の三本立てでした。うまくいかない日ほど「ほら、やっぱり最悪」と言いたくなる。口にするたびに、最悪の証拠がまたひとつ集まってくる。そんな毎日でした。
そんな私に、ある商人のおじいさんが言ったんです。「あんた、口が貧乏してるよ」。顔でも財布でもなく、口。生まれて初めて聞く悪口でした。
騙されたと思って、「ついてる」だけ言ってみることにしました。最初はもう、あきれるほどの棒読みでした。気持ちなんて、まるでこもっていません。
コンビニのレジ前で小さく「ついてる、ついてる」とつぶやいていたら、店員さんに「袋、お付けしますか?」と聞き返されたこともあります。赤面して店を出ました。
それでも、ぶつぶつ続けて何週間かたったころ、妙なことに気づいたんです。
青信号が三つ続いて「お、ついてる」。落とした書類を、通りすがりの人が拾ってくれて「ついてる」。
考えてみれば、昨日までも青信号はあったし、親切な人もいたはずです。
言葉は、夜のサーチライトに似ています。口にした言葉の方向だけが、パッと明るくなるんです。
試しに、今日の帰り道で「赤いもの」を探してみてください。ポスト、信号、誰かのマフラー。探し始めたとたん、街が赤いものだらけになります。「ついてる」は、この探すスイッチを、いいことの方向に入れる言葉です。
「最悪」が口ぐせだったころの私は、最悪の証拠集めの名人でした。「ついてる」と言い始めて、ついてる証拠を拾う見習いになった。それだけのことでした。
「でも、ついてない日はどうするの」と思いますよね。
実は、そういう日こそ出番です。電車が遅れたら「座って待てる時間ができた、ついてる」。コーヒーをこぼしたら「白いシャツの日じゃなくてついてる」。
出来事そのものは変わりません。でも、出来事に貼るラベルは自分で選べます。
最初から上手に変換できなくて大丈夫です。口が先に言うと、頭があとから理由を探してくれます。続けていると、「この程度で済んでついてる」という変換が、半自動でかかるようになりました。
もちろん、どうしても言えない日もあります。そういう日は、無理に言わなくて大丈夫です。心や体がつらい時は、言葉でがんばろうとせず、専門家や身近な人に頼ってくださいね。
これは予想外でした。わが家では、笑って見ていた家族のほうが、先に「ついてる」と言い出したんです。
「ついてる」と言っている時、人は眉間にしわを寄せにくいものです。試しに、しかめっ面で「ついてる」と言ってみてください。けっこう難しいはずです。
正直に言うと、唱えるだけで宝くじが当たるわけではありません。変わるのは、まず受け取り方。次に表情と行動。最後に、まわりの反応。魔法ではなく、順番です。
感じのいい人には、人は感じよく返すもの。そして上機嫌は、使っても減りません。
口ぐせにするコツは、すでにある習慣にくっつけることです。目覚ましを止めたあと。玄関を出るとき。信号待ち。「この場面で言う」と決めておくと、思い出す手間がいりません。
だから、今日やることはひとつだけ。家の玄関を出る瞬間に、「ついてる」と一回だけ言ってみてください。
棒読みで結構。声の大きさも自由です。もし誰かに聞き返されたら、それも、あとで笑える思い出になります。忘れた日があっても、思い出してまた言えば、続いています。
ひとりでぶつぶつ言うのが心細い夜は、「まどあかり」という窓があります。どこかで誰かが天国言葉を唱えると、夜空の地球儀に小さな灯りがともる窓です。「あ、いる」と思えるだけで、明日の「ついてる」が少し言いやすくなります。
まどあかりいま唱えている誰かの灯りが見える、公開の窓ついてる、ついてる。感謝してまーす。