失敗して恥ずかしい人へ。
みんなの前で言いまちがえた。大事な場面で、思いもよらないミスをした。その場はなんとか笑ってごまかしたけれど、家に帰ってからも、あの瞬間が頭の中で何度も再生される。思い出すたびに顔が熱くなって、「うわあ」と声が出そうになる。
最初にお伝えしたいことがあります。恥ずかしさを引きずるのは、あなたが人の目ばかり気にする弱い人だからではありません。ちゃんとやりたかった、という気持ちがあったからこそ、恥ずかしいんです。
失敗そのものは、たいてい一瞬で終わっています。長引くのは、そのあとの「思い出し」のほうです。
お風呂で、寝る前に、信号待ちで。ふとした時に、あの場面がよみがえる。そのたびに「なんであんなことを」「みんな、あきれてたよな」と、自分で自分に追い打ちをかけてしまう。一回の失敗が、思い出すたびに、何十回分もの恥ずかしさにふくらんでいきます。
でも、少し落ち着いて考えると、まわりの人は、こちらが思うほどは覚えていないことが多いものです。みんな、自分のことで手いっぱいです。いちばん長く覚えているのは、たいてい失敗した本人です。
ここで使うのは、天国言葉のひとつ「ゆるします」です。
「ゆるします」は、誰かにされたことをゆるす言葉だと思われがちです。でも、宛先は自分でも構いません。失敗した自分に、「ゆるします」。
ゆるすというのは、失敗をなかったことにすることではありません。迷惑をかけた相手がいるなら、謝ることや、やり直すことは、それはそれで大事です。ゆるすのは、そのあと何度も自分を裁き直すことのほうです。一回の失敗に、判決は一回で十分です。
では、いっしょにやってみましょう。
あの場面を、ほんの少しだけ思い出してください。顔が熱くなってきたら、そこで止めて大丈夫です。
そして小さな声で、自分に向かって1回だけ。
「……ゆるします」
言えましたか。まだ恥ずかしさが残っていても、それで構いません。
心がついてこなくていいんです。「まだ全然ゆるせてないけど」と思いながらでも、声に出せたら、今日はそれで満点です。気持ちは、あとからゆっくり付いてきます。
声に出しにくい場所なら、心の中で1回でも大丈夫です。
恥ずかしい場面は、これからも、ふいによみがえると思います。思い出すこと自体は、止めようとしなくて大丈夫です。
その代わり、思い出したら、それを合図にしてください。顔が熱くなった瞬間に、「ゆるします」を1回。思い出しを止めるのではなく、思い出したあとにつける言葉を変えるだけです。「うわあ」のあとに「ゆるします」。それで、その回はおしまいにします。
言ったからといって、失敗が消えるわけではありません。変わるのは、思い出したあとの、自分への声のかけ方です。そのうち、思い出しても少し笑える日が来るかもしれません。
もし、その場面が頭から離れなくて眠れない日が続く時、人前に出るのが怖くなってしまった時は、ひとりで抱えず、医療機関や身近な人に相談してください。
私、山燦(さんさん)は「ゆたかなダルマ会」で、毎朝、天国言葉をいっしょに声に出しています。失敗のあとに自分へかける言葉は、くせになるまで、少し時間がかかります。
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