「ゆるします」だけ、どうしても言えない。
そんなあなたに、最初にお伝えしたいことがあります。言えなくて大丈夫です。言えないのは、あなたの心がせまいからではありません。それだけ、傷ついたということです。
山燦(さんさん)と申します。天国言葉を毎日の習慣にする「ゆたかなダルマ会」という集まりを主宰しています。8つの天国言葉の中で、いちばん難しいのがこの「ゆるします」だと、私も思っています。今日は、言えない夜のための話を、そっと置いておきますね。
いちばん大事なことから。「ゆるします」は、相手のためではなく、自分のための言葉です。
誰かをゆるせないとき、重い荷物をずっと背負って歩いているのは、相手ではなく自分のほうです。相手はとっくに、どこかでのんきに晩ごはんを食べていたりします。悔しいですね。
だから「ゆるします」は、その荷物を夜のうちに、いったん床に降ろすための合図なんです。
怒りや悔しさを、なかったことにしなくて大丈夫です。怒るのは、あなたが大切なものを守ろうとしたからです。「ゆるします」は、怒りを消す言葉ではありません。怒りを握りしめた手を、少しだけゆるめる言葉です。
誤解のないように言うと、相手のしたことを「あれで良かった」と認めることではありません。仲直りをすることでも、我慢を続けることでもありません。
もし、いま現在もつらい目にあっているなら、ゆるすことより、離れること、助けを求めることが先です。ここだけは、どうか順番を大事にしてください。
どうしてもゆるせない夜のために、救済ルールがあります。こう言ってください。
「ゆるします(まだ思ってないけど)」
これで満点です。本当に、満点です。
真面目な人ほど「心がこもっていないとダメだ」と自分を責めがちです。でも、心がまだ追いついていなくても、口が先に、荷物を降ろす練習をしてくれます。ここでは、カッコ付きこそ正装です。
言えたからといって、相手が変わるわけでも、過去が消えるわけでもありません。変わるのは、自分の肩の重さです。
今夜ゆるせない分は、来月の自分にまかせておけばいい。来月の自分は、今よりちょっと言葉の達人になっていますから。
カッコ付きでも、のどにつかえる夜があります。そんな夜は、宛先を相手から自分に変えてみます。
「ゆるせない自分を、ゆるします」
ゆるせないままの自分に、まず丸をつける。それだけで、肩の力が少し抜けます。
ゆるせない相手が、自分自身だという方もいます。あの時ああしていれば、と何年も自分を責めている。そんな方にも、同じ言葉を使ってほしいのです。「あの時の自分を、ゆるします(まだ思ってないけど)」。あの時のあなたは、あの時なりに精一杯だったはずです。
それも難しければ、ほかの7つのどれかで十分です。布団の中で「感謝してます」を三つ数える。今夜も布団がある。蛇口から水が出た。心臓が今日も動いてくれた。
私は天国言葉を、照れくさい順に階段のように並べています。「ゆるします」は、そのいちばん上の段。一段目から、ゆっくりで構いません。階段は逃げません。
そして、思い出すだけで苦しくなる、眠れない日が続く。そんな時は、ひとりで抱えないでください。無理をせず、専門家や身近な人に頼ってほしいのです。言葉の習慣は、そのあとでゆっくりで構いません。
今夜、布団に入ったら、小さな声で一回だけ。
「ゆるします(まだ思ってないけど)」
相手の顔は、思い浮かべなくて構いません。言えたら、それで今日はおしまい。言えなかったら、「言えなかった自分を、ゆるします」。どちらに転んでも、満点です。
ひとりで荷物を降ろす夜が心細かったら、「まどあかり」という窓をのぞいてみてください。どこかで誰かが天国言葉を唱えると、夜空の地球儀に灯りがぽっとともります。あの灯りの人も、今日を機嫌よく締めようとしているんだな、と思えるだけで、少しあたたかくなります。
まどあかりいま唱えている誰かの灯りが見える、公開の窓だんだん良くなる未来は明るい。感謝してまーす。